整形外科は運動器の疾患を扱う診療科です。身体の芯になる骨・関節などの骨格系とそれを取り囲む筋肉やそれらを支配する神経系からなる「運動器」の痛みや機能の改善を重要視して治療する外科です。
整形外科では誰でも日常生活で起こりえる、切り傷や打撲、捻挫、骨折、スポーツ傷害、交通外傷、などはもちろんのこと、変形性変化を伴う加齢疾患、骨粗鬆症、関節リウマチ、痛風、運動器の腫瘍、運動器の先天異常などの先天性疾患など、新生児時から老年まで幅広い患者様を対象としています。
整形外科の対象となる症状とその治療は?
切り傷、擦り傷、刺した傷など、傷全般
切り傷、擦り傷(すりきず)、刺した傷などは日常で多く見受けられます。
しかし、実際に遭遇すると「切り傷なんだけど何科を受診したらよいかわからなくて…」と思われる患者様が多いです。
傷などの治療は外科や整形外科で行うことが多く、深い傷などでは皮膚の下の神経や血管、筋肉、腱などが切れてしまっている場合もあり、より専門的な治療を行わないと後遺症が残ることがあり十分注意が必要です。
また、小さな傷でも細菌などによる感染症が起こる場合もあり、我慢をすることで治療開始が遅れ症状の悪化や長期間の治療が必要になることもありますので、「大丈夫かな」と思うような場合でも病院での確認をお勧めします。
打撲、捻挫など
打撲や捻挫は受傷後に数日冷やし、湿布を使っていたら自然と治ったという方も多いかと思います。
「自然と治る」場合も多いのですが、捻挫による靭帯損傷では関節不安定性の症状が続いて、後々にも痛みが残る場合なども見受けられます。
また、打撲と思っていたが、症状が続くため病院を受診したら、骨折しているのが見つかった例などもあります。
さらに、10歳くらいまでは「足首の捻挫」と判断された患者様の中にかなり高い確率で(軟骨を含む)骨折が隠れていることがあるということも報告されています。
特に痛みや腫れが続く場合などは早目にレントゲンなどで骨折の有無の確認をしましょう。
骨折、脱臼など
整形外科の専門分野です。
骨折が疑われる受傷場面や受傷部位の場合には必ずレントゲン検査を行います。
骨折の有無は見た目や痛みだけでは判断することは無理です。
レントゲン検査で骨折が確認された場合には、ギプス固定などの治療できちんと治るか、手術治療が必要であるのかどうか、など適切に判断し、治療後の患者様の日常生活の質を落とさないよう治療計画を立てます。
関節痛(肩、肘、手首、指、股関節、膝、足首、足の指)など
ヒトの体には多くの関節があり、その関節は骨、軟骨、靭帯、筋、など多くの軟部組織によってスムーズな動きができるように作られています。
しかし、数十年も繰り返される歩行や動作、転倒などにより捻ってしまったことより関節の痛みが出てくることがあります。
関節に痛みが出現した場合、関節や軟部組織のどこに原因があるか、を確認し治療を進めます。
日常の診療で多く見られるのが、いわゆる「四十肩」「五十肩」と言われる、肩関節の強い痛みと動かしにくさが出てくるような症状や、関節の軟骨が傷ついたり骨の変形が出現することによる膝関節周辺の痛みや腫れなどです。
診察やレントゲン、MRI検査で原因をつきとめて、投薬、注射、リハビリテーションなどの治療によって痛みを軽減していきます。
首の痛み、肩こり、頭痛、腕・手のしびれ など
長い間、肩こりや、肩こりに伴う頭痛でお困りの方も多く見受けられます。
首の骨(頚椎)は7つの骨で構成され、横から見ると、少し前方に出るように弯曲しています。これが、慢性的な肩こりの方では直線的に並んでいたり、通常とは逆で少し後方に出るよう弯曲している場合があります。
このような頚椎の特徴はレントゲンで確認できます。
頚椎の空洞の中に存在するのは脊髄という脳から続く神経の大きな束です。
ここから腕や手へ神経が分かれて伸びていきます。
そのため、頚椎で神経に影響が出た場合に腕や手のしびれなどの症状が出ることがあります。
このような腕への神経症状は長期間我慢してしまうと回復が不十分になったり、重篤な神経症状に進行してしまう可能性もあるため早期に確認し、適切な治療を開始する必要があります。
症状の軽いうちは内服薬やリハビリが治療の中心になります。
極端に悪化してしまった場合は手術治療が必要な場合もあります。
腰痛、大腿部痛、脚・足のしびれ など
腰痛の症状でお困りの患者様も非常に多くいらっしゃいます。
腰も頚椎とよく似た形状の骨(腰椎)5つで構成されます。腰椎は上半身と下半身を連結している大変重要な部分です。
その分、負荷も多くかかるため、腰椎の間にある椎間板が変化し、脊髄から脚にのびる神経の圧迫などが起こり、しびれや痛みなどの症状が出ることがあります。
レントゲンなどの確認や必要時にはMRI検査などを追加して状況を把握し、治療を行います。
首の場合と同様に早期の治療が大切です。
関節リウマチ
「朝、起きた後の手や指の動きが悪くこわばり感がある」「両膝、両手首などの痛み」などの症状が代表的です。
男性よりも女性に多いのも特徴です。
体内で免疫反応の不具合が生じるために起こる疾患で、レントゲン検査や血液検査などで診断します。
近年では新規治療薬の開発もどんどん進んでおり、病状をいい状態で維持できるようになってきています。
気になる症状がある場合は病状が進行する前に検査を実施していくことが重要です。
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)
骨粗鬆症は特に女性に多い病気で、患者様の80%以上が女性といわれています。
特に閉経期を迎えて女性ホルモンの分泌が低下しますと、急激に骨密度が減り、同年代の男性に比べて早く骨密度が低くなります。
また、運動歴や飲酒・喫煙などの生活習慣、服用している薬が原因となる場合もあります。
これらの骨密度の変化のせいで「ちょっとしりもちをついただけ」「転んで手をついた」といった軽いケガなのに骨折をしてしまうことがあり、長期入院治療や手術が必要になる場合もあります。
それまで普通にできていたことが難しくなり「生活の質の低下」という悲しい現実を受け入れなくてはならないようなこともあります。
当院では骨密度を測定することができます。
また、血液検査でもさらに詳しく骨の状態を確認することもできます。
お一人お一人に合った骨密度低下の予防法、治療法を提供し、元気に年齢を重ねていくお手伝いをさせていただきます。
痛風
関節リウマチ、骨粗鬆症は女性に多い疾患ですが、痛風は逆に男性に多い疾患です。
足の親指の付け根の激しい痛みが特徴で、強い痛みは足以外の関節にも認められることもあります。
血液中の「尿酸」の値が高い状態が続いた場合などにこの「痛風発作」が現れます。
食生活やアルコールなどの生活習慣が原因となる場合もありますが、尿酸を体内で処理する能力が不十分であるために発症することもあります。
血液検査、レントゲン検査などで全身状態を確認し、内服薬での治療を行います。
尿酸の値が高い状態が続くと「痛風発作」だけではなく、腎臓の機能が低下することもあり、重症の場合は人工透析などの治療が必要になる場合もあります。
スポーツ傷害
出典:新版 図解 スポーツコンディショニングの基礎理論(国際スポーツ医科学研究所 (監修) )
運動やスポーツに取り組む場合は、ケガや病気などのトラブルが生じるため、あらかじめ予防策を講じ、もし生じた場合にも、すみやかに対処してリカバリーできるように備えておくことが重要です。
一般にケガと呼ばれているトラブルはスポーツの現場ではスポーツ傷害と呼ばれ、発生要因からスポーツ外傷とスポーツ障害に分けられます。
スポーツ外傷は、他の選手の身体との接触や用具・施設との接触など外からの強い力が加わることによって突発的に身体に生じる損傷です。
代表的なものとして、骨折、脱臼(だっきゅう)、捻挫(ねんざ)、打撲(だぼく)(挫傷(ざしょう))、肉離れ(にくばな)、断裂(だんれつ)、靭帯損傷(じんたいそんしょう)などがあります。
一方、スポーツ障害は、主に身体の一部、あるいは全身の使いすぎや動作に対する筋力の不十分、不適切なフォーム、疲労へのケアの不十分などによって発生する炎症や損傷のことをいい、オーバーユース症候群ともいわれます。代表的なものとして、疲労骨折や野球肘、テニス肘、ジャンパー膝、さらにシンスプリントなどがあります。
また、運動・スポーツをする中で病気にかかり、パフォーマンス低下や運動自体できなくなることがあります。
原因はさまざまですが、栄養や休養の不足とそれによる免疫力の低下、気温などの環境の変化が挙げられます。
代表的なものとして風邪などの感染症や腹痛(ふくつう)、貧血(ひんけつ)、熱中症(ねっちゅうしょう)などの内科的スポーツ障害があります。
運動・スポーツに関わるケガ・病気
スポーツ傷害 スポーツ外傷
急性的
1回の強い力によって生じる傷害
スポーツ障害
慢性的
オーバーユースによって生じる傷害
その他の病気
栄養・休養の不足とそれによる免疫力の低下、環境の変化によって生じる疾患
カラダの部位別にみる「スポーツ傷害」
傷害 | 部位 | 傷害名 | 起きやすい競技 | 症状 |
---|---|---|---|---|
障害 | 肩 | 野球肩 | 野球 | |
肩腱板炎 | 水泳、野球、テニス |
当初は腕を高く上げると肩が痛みます。 後に肩が上げにくくなります。 |
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肘 | 内・外側上顆炎 | 野球、テニス、ゴルフ | ||
腰 | 腰椎分離症 | 野球、サッカー、器械体操 | ||
骨盤 | グローインペイン症候群 | サッカー | サッカーに多く、プレーを続けると 股関節の機能障害が生じます。 |
|
脛 | 疲労骨折 | 陸上、バスケットボール、 バレーボール |
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シンスプリント | 陸上、バスケットボール、 バレーボール |
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膝 | オスグッド | バスケットボール、サッカー | ||
腸脛靭帯炎 | ランニング | |||
膝蓋腱炎 | バスケットボール、バレーボール、 サッカー |
|||
足 | アキレス腱周囲炎 | バスケットボール、バレーボール、 サッカー |
慢性的な刺激で、アキレス腱の周辺の 組織が炎症を起こします。 |
|
底筋腱炎 | ランニング | 足裏にストレスが加わり、 痛みをともなう炎症が筋膜に起きます。 |
||
外傷 |
首 | バーナー症候群 | ラグビー、アメリカンフットボール、 格闘技 |
首や肩、腕などに強い痛み、 しびれ感などの神経症状もあります。 |
肩 | 肩関節脱臼 | ラグビー、柔道 | ||
腿 | 肉離れ | 陸上、サッカー、テニス | ||
膝 | 前十字靭帯損傷 | バスケットボール、サッカー、 ハンドボール、スキー |
||
足 | 捻挫 | バスケットボール、バレーボール ほか多数 |
外科的スポーツ傷害
トレーニングや競技などの運動・スポーツをすることによって生じるケガやトラブルのことを、外科的スポーツ傷害と呼び、大きくスポーツ外傷とスポーツ障害とに分類されます。
スポーツ外傷とは、転倒や衝突などの1回の大きな刺激(外力)によって身体組織が損傷を受ける急性のスポーツ傷害を指し、打撲、創傷(そうしょう)、骨折、脱臼、捻挫、挫傷(断裂)損傷などがあります。多くはどの身体部位にも発生する可能性があり、症状には疼痛(とうつう)、腫脹(しゅちょう)、熱感(ねっかん)、発赤(ほっせき)が見られます。格闘技などのコンタクトスポーツでは、脳震盪(のうしんとう)や臓器損傷(ぞうきそんしょう)なども生じることがあります。
これらの外傷は偶発的に生じることが多いですが、特定の動作や疲労などが原因となることもあります。たとえば、足関節捻挫はジャンプの着地や切り返し動作時に、ハムストリングスの肉離れは全力疾走時に、骨折や打撲は他の競技者との接触で大きな力が加わった際に生じやすいです。また、疲労の蓄積による判断力や反応、筋の耐久性の低下、他の傷害を抱えていることもスポーツ外傷の要因となりうるのです。
一方、スポーツ障害は、長期間にわたって繰り返される小さな刺激(負荷)により起こる筋や腱、靭帯、骨、骨膜などの慢性的なスポーツ傷害を指し、代表的なものに疲労骨折やシンスプリント、アキレス腱炎(けんえん)、膝蓋腱炎(しつがいけんえん)(ジャンパー膝)、上腕骨外側上顆炎(がいそくじょうかえん)(テニス肘)などが挙げられます。
多くの場合、運動痛や運動制限などの症状が見られます。
スポーツ障害の原因にはオーバーユース(使いすぎ)や過負荷が挙げられますが、柔軟性の程度(過度に硬くても柔らかくても要因となる)や骨格のアライメントの異常なども考えられます。
スポーツ外傷の発生が疑われる場合はすぐにPRICEの処置を行ない、また、外傷・障害のいずれに対してもすみやかにスポーツ専門医を受診し、治療することが望ましいです。
そして、症状の回復だけではなく、再発予防も合わせた治療・リハビリテーションを実施することが、運動・スポーツを長く続けていくために大変重要です。
外科的スポーツ傷害 スポーツ中に生じるケガ・炎症
スポーツ外傷(急性) | スポーツ障害(慢性) | |
---|---|---|
症状 | 疼痛・腫脹・熱感・発赤 | 運動痛・運動制限 |
発症部位 | 全身 | 筋肉・腱・靭帯・骨・骨膜 |
病名 | 打撲・創傷・骨折・脱臼・捻挫・挫傷など |
シンスプリント・アキレス腱炎・膝蓋腱炎 (ジャンパー膝)・上腕骨外側上顆炎(テニス肘)・疲労骨折など |
特徴 | ▶強い外力によって生じた場合、重症度が高くなります。 ▶初期段階ですみやかにPRICEなどの応急処置を実施すると ダメージを最小限に抑えることができます。 ▶特定の動作・特定部位の疲労が要因となることがあります。 |
▶過度の負担が積み重なり、痛みを主とした 慢性的な症状が続きます。 ▶誤った動作や姿勢など、原因が明らかな場合と、 わかりにくい場合があります。 ▶一度発生すると、回復までの時間が長くかかりやすいです。 |
筋・腱の主なスポーツ障害Ⅰ
運動・スポーツにおいて、関節を動かす筋や腱のスポーツ傷害には、大きな負荷を急激に受けることで発症する急性のものと、疲労の蓄積や炎症の慢性化によって発症するものがあります。
筋の主な傷害には肉離れ・筋挫傷(きんざしょう)・筋肉痛・こむら返りがあり、腱の傷害には腱炎・腱断裂(けんだんれつ)・腱鞘炎(けんしょうえん)が挙げられます。
競技への復帰に際しては、適切な休養と治療、リハビリテーションが必要となりますが、それにより症状が消失しても、筋や腱の強度が低下することで、競技力の低下や再発につながる可能性があるため、傷害が起こった場合は素早い応急処置を実施し、直ちに専門医を受診し、適切な治療を開始することが重要です。
筋肉痛
原因・起こりやすい部位
力を出し続けると、筋が損傷をすることがあります。これを修復するときに起こる炎症を筋肉痛と呼びます。特に筋肉を引き伸ばして力を出す部位に起こりやすいです。
症状
運動中や直後ではなく、主に翌日に炎症をともなう痛みを感じます。炎症は24~48時間後にピークになり、数日間続きます。
予防・処置
運動の間隔を短くしたり、運動前後のストレッチを行なうことで予防できます。トレーニングを積んで筋代謝を早めるとリカバリーも早いです。
筋けいれん
原因・起こりやすい部位
一般的に「つる」と呼ばれている症状。ふくらはぎ(=こむら)で起きやすいことから、「こむら返り」とも呼ばれています。不十分な水分摂取、疲労や睡眠不足もその一因と考えられます。
症状
筋の収縮は、通常なら脳からの指令を受けて行われますが、何らかの異常により筋への指令が出続けて、痙攣が起こっている状態です。筋の強直状態が数分程度続き、痛みもともないます。
予防・処置
多量の発汗がともなう場合はスポーツドリンクの飲水、疲労によるものであればストレッチ、アイスマッサージも効果的です。
筋挫傷(打撲)
原因・起こりやすい部位
選手同士の激しい衝突などにより筋線維や血管が損傷します。競技によって起きやすい部位は違ってきます。
症状
軽度なら患部を圧迫したときに痛みを感じる程度ですが、中程度以上だと腫れをともなったり、熱を感じるような痛みが出たりします。皮下出血による斑が表れることもあります。また筋の収縮が妨げられ、可動域が制限されることもあります。
予防・処置
できるだけすみやかにPRICEを施し、腫れや痛みの拡大を防止します。
筋・腱の主なスポーツ傷害Ⅱ
シンスプリント
原因・起こりやすい部位
マラソン選手や陸上選手などランナーに特に起こりやすいです。脛骨(すね)の内側に起こります。
症状
激しい痛みではなく、鈍痛であるのが特徴です。運動時に一時的に痛みが消え、終了した後に再び症状が現れるなど、不規則な症状が出ることもあります。さらに症状が進むと持続的な痛みへと変わります。
予防・処置
症状が軽いうちに運動後のストレッチやアイシングを十分に行います。症状が進んでしまったら長期間休養を取りましょう。軽くなったからと安心すると再発の危険性もあります。
ジャンパー膝
原因・起こりやすい部位
ジャンプ、着地の繰り返しで起こる膝の障害。バスケットボール、バレーボール、ハンドボールなどの選手に多いです。
症状
ジャンプと着地でヒザの曲げ伸ばしの際、大腿四頭筋が収縮します。このとき膝蓋骨と膝蓋腱の接合部に負担がかかり、腱の微小断裂などが生じます。
予防・処置
症状が軽いうちはストレッチを入念に行なったり、患部へのテーピング、サポーターの使用で悪化を防ぎます。症状が進むとジャンプ動作の制限や長期休養が必要になります。
肉離れ
原因・起こりやすい部位
瞬発的な運動をして筋に強い収縮力が加わったときに、その筋組織が断裂すること。ハムストリングス、大腿直筋、大腿内転筋、腓腹筋に起こりやすいです。
症状
筋の損傷部に腫れが生じて、運動の継続は困難になります。損傷の度合いによって自立歩行が可能な場合もあります。
予防・処置
安静、保存療法が一般的。患部をアイシングし、さらに圧迫、固定します。競技への復帰に際しては、回復具合を考慮しながら軽いストレッチなどから始めます。
腱断裂
原因・起こりやすい部位
骨と筋を統合している腱が断裂すること。筋の急激な収縮によって、腱がその力を支えきれなくなって起こります。アキレス腱断裂が知られています。
症状
腱が部分的に切れる「腱不完全断裂」と、腱全体が切れる「腱完全断裂」に分けられます。急激な痛みを感じ、完全断裂では関節を動かすことができなくなります。
予防・処置
線維組織の再生能力は高いため、腱の断端部を接触した状態を保ち、安静にします。また手術で縫い寄せる方法もあります。
関節・靭帯の主なスポーツ傷害Ⅰ
関節は骨・軟骨・筋・腱・靭帯などが複雑に連結する結合体であることから、その傷害も複合的に生じます。
関節のスポーツ外傷には脱臼や靭帯損傷などがあります。脱臼は、競技中の転倒や接触・着地などの際に強い力が加わることで、関節を構成する骨同士の位置関係が崩れ、損傷した状態をいいます。受傷すると靭帯や関節包を損傷し、時には靭帯と接合する骨の一部が剥離する剥離骨折(はくりこっせつ)を引き起こすこともあります。
一方、靭帯損傷は、競技中の着地や接触で関節可動域を超えた力がかかり、靭帯の一部または全てが断裂することです。一般的に捻挫と呼ばれている傷害はこの靭帯損傷にあたります。
脱臼
原因・起こりやすい部位
外部からの衝撃によって、関節を構成する骨同士がずれたり、外れたりすること。可動範囲の広い肩関節は起こりやすい部位の1つです。
症状
症状程度によって、完全脱臼と不完全脱臼(亜脱臼)に分けられる。関節を構成する部位に損傷をともなうため、痛みを感じ、患部が腫れることもあります。
予防・処置
亜脱臼は捻挫との区別が難しいため、注意が必要です。医療機関にて関節を本来の状態に戻し、関節周辺の損傷が回復するまで固定します。
捻挫
原因・起こりやすい部位
外部から関節の可動範囲を超える圧力を受けたときに起こります。脱臼は関節のずれをともないますが、捻挫は患部の損傷のみが起きた状態です。捻挫は一般用語で、医学用語では損傷部位によって、靭帯損傷などといいます。
症状
痛みを感じ、腫れと熱感をともないます。程度がひどい場合は、内出血が起こります。
予防・処置
予防には運動前の入念なウォームアップが大切です。起きてしまったらただちにPRICEを実施して、症状の悪化を防ぎましょう。腫れや痛みが激しい場合は早めの受診が必要です。
前十字靭帯損傷
原因・起こりやすい部位
大腿骨と脛骨をつなぎ、膝関節を安定させている前十字靭帯の損傷。急な方向転換をしたり、外部からの無理な力が加わったときに起こりやすいです。
症状
膝に血液がたまり、歩行は難しくなります。半月板や内側側副靭帯などの損傷をともなうことも多いです。
予防・処置
独自で判断せずに、専門医の治療を受けましょう。自然治癒することはほとんどないため、競技復帰のためには手術が必要です。また復帰までの期間も6ヵ月から1年かかります。
関節・靭帯の主なスポーツ傷害Ⅱ
野球肩
原因・起こりやすい部位
野球のように肩を使う競技に起こりやすいです。水泳肩ともいいます。単一の障害形態ではなく、回旋筋腱板などの損傷や炎症、亜脱臼障害、神経障害がともなうこともあります。
症状
肩を動かしたときに痛みが現れ、症状が進むと安静時にも痛みを感じるようになります。回旋時に、引っかかり感をともなうこともあります。
予防・処置
軽度なら肩の安静、アイシング、ストレッチなどに効果があります。病態によってさまざまなので専門医の受診が望ましいです。
テニス肘
原因・起こりやすい部位
テニスでラケットを振る動作を繰り返すことが原因で肘に痛みを感じる障害。肘の外側をバックハンド肘、内側をフォアハンド肘と呼び区別します。
症状
ボールがラケットに当たったときの衝撃で筋の微小断裂や損傷が起こります。ラケットを振るたびに痛みを感じ、タオルを絞ったり、ドアノブを回したときに痛みを感じることもあります。
予防・処置
ストレッチやサポーターで症状を和らげます。程度が進むと競技を休養したり手術が必要になります。
ランナー膝
原因・起こりやすい部位
医学用語では腸脛靭帯炎といいます。膝の外側にある腸脛靭帯に痛みを感じます。陸上競技のランナーに多いことから一般的にこの名前で呼ばれています。
症状
初期症状ではランニング後に痛みを感じ、休むと消えます。症状が進行すると、痛みが大きくなり、治まらなくなります。
予防・処置
予防のためには十分なウォームアップを行なうのが大切です。症状が出てしまったら安静を保ち、アイシングを施し、炎症を抑えます。
半月板損傷
原因・起こりやすい部位
膝にある線維軟骨が三日月形に形成されてできた組織をが半月板といい、膝をひねったときにこの半月板が損傷するのが半月板損傷です。
症状
損傷が軽い場合は特に症状が現れません。さらに進行すると、膝の中でクリック音がしたり、半月板の破片が関節に挟まり、曲がったまま動かせなくなる(ロッキング)といった症状が現れます。
予防・処置
スポーツ活動や日常生活に支障をきたすような場合、自然治癒は期待できないために手術が必要になります。
骨・軟骨の主なスポーツ傷害Ⅰ
スポーツ中の骨や軟骨の傷害としては、まず骨折が挙げられます。骨折とは転倒や衝突などによって大きな力が加わり、骨に亀裂を生じた損傷をいいます。また、微量な外力であっても、同一部位に繰り返し加えられ、疲労で骨強度が減少したところに負荷がかかって生じる骨折を疲労骨折(ひろうこっせつ)といいます。
一方、軟骨の外傷としては軟骨損傷(なんこつそんしょう)、障害としては椎間板ヘルニア(ついかんばん)、さらには骨と軟骨の複合の障害として成長期におけるオスグッド・シュラッター病などが挙げられます。
骨は再生しやすく治りやすいですが、軟骨の損傷は治癒(ちゆ)が難しいので、手術が必要になることが多いです。
疲労骨折
原因・起こりやすい部位
骨の同じ部位に一度では骨折にならない程度の圧力がかかり、軽度の損傷を続けていると最終的に骨全体の疲労骨折になります。下腿では脛骨、腓骨に、足部では踵骨、舟状骨、中足骨に起こりやすいです。
症状
骨折のように皮下出血や大きな腫れをともなうことはないですが、運動時や圧迫時に痛みを感じます。
予防・処置
一般的な骨折よりも長期の治療が必要な場合が多いです。症状によっては手術が必要になることもあります。
骨折
原因・起こりやすい部位
激しい外的圧力が加わり、本来一続きである骨の構造が断たれること。疲労骨折に対して外傷骨折とも呼びます。
症状
骨折によって骨の表面の神経が破壊されるために痛みを感じます。また患部周囲の組織が損傷し、腫れをともないます。
予防・処置
ギプスや副木によって患部を固定する必要があります。骨折した箇所にずれがなければそのまま固定しますが、ずれている場合は整復によって正常な位置に戻して固定させます。
手のつき方によって、骨折部位の転位方向がかわります。
- 横骨折
骨の長軸に対し垂直に折れる。 - らせん骨折
骨の長軸に対しらせん状に折れる、回転のメカニズムが加わる。 - 斜骨折
骨の長軸に対し斜めに折れる。 - 粉砕骨折
2つ以上の骨片を有する。 - 分節骨折
粉砕骨折の1つとされ、いくつかに分かれた骨折。
骨・軟骨の主なスポーツ傷害Ⅱ
オスグッド・シュラッター病
原因・起こりやすい部位
脛骨粗面部に牽引力がかかり、脛骨表面が剥がれたり、膨隆したりします。成長期の子どもが発症することがほとんどです。
症状
主に小学校高学年から中学生で発症します。膝蓋腱付着部の脛骨粗面部が膨隆し、やや強い痛みをともないます。
予防・処置
大腿四頭筋やハムストリングのストレッチを入念に行ないます。テーピングやサポーターを使用して、患部を固定します。膝蓋腱付着部の脛骨粗面部が膨隆した箇所は消えません。
変形性股関節症
原因・起こりやすい部位
股関節の動きで軟骨が摩耗して起こります。女性は関節が柔らかく、一般的に筋力も弱いために、男性よりも発症しやすいです。
症状
初期は運動後に股関節だけではなく臀部、大腿部などにも鈍痛が出ます。症状が進むと股関節周辺に痛みが集中します。
予防・処置
安静が基本ですが、股関節周辺の筋力トレーニングで関節を安定させることも効果的です。症状が重い場合は手術を必要とする場合もあり、手術後のスポーツ復帰は困難です。
椎間板ヘルニア
原因・起こりやすい部位
腰椎の椎間板が損傷し、髄核が外部へ脱出し神経組織を圧迫します。スポーツでは接触や高所からの転落による外傷でも起こります。
症状
初期には激しい腰痛。その後片側の下肢痛、しびれ。圧迫される神経組織によって痛む部位は変わってきます。
予防・処置
神経性麻痺症状がなければ保存療法が一般的。運動麻痺が進行する場合などは手術に至ることもあります。髄核が自然に縮小、消失することもあります。
腰椎分離すべり症
原因・起こりやすい部位
スポーツ選手の場合、多くは発育期の疲労骨折によるものです。椎間関節突起の安定性が崩れ、骨性連続性が破綻した状態です。ただし痛みの原因は今も確定されていません。
症状
鈍く重い腰痛があります。上体を後方へ反らせると痛みが増すこともあります。稀に神経根が刺激されていることによる下肢痛、しびれが出ることもあります。
予防・処置
腰椎分離症に特異的なものはなく、椎間板ヘルニアと同様に保存療法が一般的です。
アライメントとタイトネス
骨や関節の形や並びのことを「アライメント」といい、筋の硬さ(緊張した状態)を「タイトネス」といいます。アライメントに異常があると筋にストレスがかかってタイトネスを引き起こし、逆にタイトネスがあるとアライメントに異常を起こしやすくなります。こういったことが関節や骨に傷害を起こす原因にもなるため、異常が生じやすい部位を認識し、その部位にストレスが集中しないように筋力や柔軟性などのバランスを確保することが大切です。
こどもに多い症状と成長痛
肘内障(ちゅうないしょう)
両親や友達と手をつないでいて、腕を引っ張られるような状態になった後などに腕を動かせない状態になります。
5歳くらいまでのこどもに多くみられます。
肘の関節の部分に骨のずれが生じることが原因ですが、同じような状態でも骨折をしている場合もあるためレントゲンでの確認を行います。
肘内障の場合はこの「骨のずれ」を整復する操作を行うと比較的早く腕を使い始めるようになります。腕を強く引っ張らないようにみんなで注意することが必要です。
オスグット病
両膝のお皿の下あたりに痛みが現れます。症状としては膝のお皿の下骨が突き出てきたり赤く腫れ、熱を持つ場合もあります。
多くは運動をすると痛み、休むと痛みが消失します。
上記の特徴的な症状に加え、問診(性別・年齢・スポーツ活動の有無など)やレントゲン検査、MRI検査・超音波検査などで、脛骨粗面に剥離した小さな骨のかけらなどが見られた場合には、診断が確定します。
オスグッド病は、スポーツを盛んに行っている10歳~15歳くらい(小中学生)の成長期の男の子が多いです。
適切な安静やアイシング、柔軟性の改善などで症状が改善する場合が多いですが、長期間我慢をし続けスポーツを行っていると改善が難しい場合がありますので早期の受診と対応が必要です。
扁平足(へんぺいそく)
転んだり捻ったりしていないのにこどもが夜になって足の痛みを非常に強く訴え、朝になったら何事もなかったようにケロッとしているといった経験のある方もいらっしゃるかと思います。
原因がはっきりしないことも多いようです。
こどもの足は、まだ骨や筋が成長過程にあるために体重がかかった時に扁平足になることがあります。
そのために足全体に負荷がかかり、痛みの原因になる場合もあります。
足の状態を細かく確認することが重要です。
成長痛
12歳未満のこどもにみられる下肢の痛みです。
多くは夕方から夜の時間帯で主に膝の周りを痛がりますが、撫でたり、さすったりすると痛みが軽減し落ち着きます。
そして、朝にはまったく痛みを訴えず元気に動けます。
夜中に急に泣いて起きることもあります。
痛みの原因はよくわからず、様々な検査を行っても異常を認めないこともあります。
痛みが右や左と様々で、夜間のみであれば、安心しても良いでしょう。
成長痛は、心理的な不安定性も関係していると思われます。
特に原因がなく痛みが生じる事が多く、筋肉・関節・骨などには異常がないと言われていますが、万が一異常があれば別の疾患が疑われますので昼間も痛がるなどの場合は注意が必要です。
人工関節
人工膝関節置換術とは
人工膝関節置換術とは、変形性膝関節症や関節リウマチなどによって傷んだ膝関節の表面を取り除き、人工関節に置き換える手術です。
金属とポリエチレンでできた人工関節がそれぞれ骨と軟骨の役割を果たし、関節のように滑らかに動きます。
関節の痛みが取れることに加え、きれいな歩行、外出、旅行、趣味やスポーツの継続などが可能になることで、患者様の生活の質が向上します。
ただし、人工関節の耐久年数は、患者様の状態によって約15~20年。
耐久年数を過ぎた人工関節を取り換えるためには再手術が必要です。
そのため、これまでは比較的高齢の方に手術が行われる傾向がありましたが、最近では、より快適で質の高い生活をおくるための一手段として40代、50代の若い患者様でも人工膝関節置換術を受ける方が増えています。
人工関節の手術は、交通事故など緊急の場合をのぞいては手術の時期を選ぶことができますので、十分な時間をかけ、家族や医師と相談したうえ、患者様自身が納得し手術を決定してください。
人工膝関節置換術の流れ
まず、皮膚を切開し、疾患のある膝関節の骨の損傷面を取り除きます。その後、関節表面を削って面を整え、代わりの人工関節を設置します。
人工膝関節部分置換術も同様です。
人工膝関節置換術後について
手術後、歩けるようになるまでには個人差があります。早い方では、手術の翌日や翌々日に歩くことができる方もいます。
また、退院はおよそ術後2~4週間後、歩行の回復が十分になりましたら、日常生活に戻ることができます。
念のため、2ヶ月間ほどは転倒防止のために杖の使用を推奨します。
人工膝関節部分置換術とは
人工膝関節部分置換術とは、膝関節全体ではなく、傷んでいる側だけを人工関節に置き換える手術です。
膝関節の片側のみが痛い、膝をしっかりのばすことができる、O脚やX脚の程度が軽いといった場合に、この手術の適応となります。
膝関節全体を置き換える全置換術に対し、半分程度の大きさの人工関節を用いるため、皮膚の切開や組織の切除量が少なくなり、体への負担が減るというメリットがあります。
ただし、この手術ができるのは限られた医療機関のみです。
「人工膝関節部分置換術」用パーツはジンマーバイオメット社しか提供しておらず、他社のパーツを使用している医療機関では行えない術式だからです。
当クリニックは人工膝関節部分置換術ができる限られた医療機関のひとつとなっています。
患者様の症状などによっては行えない場合があります。希望される場合には、適応や効果、リスクについて、担当の医師と十分に話し合ってください。
人工膝関節部分置換術後について
退院はおよそ術後1~3週間後です。
全置換術よりも入院期間が短くすむことが多く、早期の回復や社会復帰が期待できます。
ペインクリニック
ペインクリニックとは
質の高い日常生活を送るために
ペインクリニックとは、痛みを感じている患者さんのQOL(生活の質)を改善して日々の生活を可能な限り快適に過ごしていけるよう治療を行うことを目的としています。
ペインクリニックの特徴的なことは、疾患の原因の追及を最終目的とするのではなく、痛みそのものに主眼を置いて、その痛みや苦痛を軽減させるためにその原因となる疾患の治療や、痛みそのものに対する治療を行い、患者さんがより質の高い日常生活を送れるよう治療を進めていくことです。
「痛みが軽くなれば………。」
多くの場合、痛みのその原因となる疾患の治療により軽減していきます。
しかし、何らかの原因によりその痛みが長引くことによって、痛みの範囲が拡大したり、別の痛みが加わわったりすることがあります。
原因となる疾患が治癒しても痛みだけが残ってしまうこともあります。
このような痛みは、患者さんの身体的の苦痛だけで無く、心にも大きな影響を及ぼし、通常の日常生活ができなくなってしまいます。
痛みの感じ方は人それぞれによって違い、痛みによって仕事もできなくなってしまうこともあります。
「痛みさえ無ければ……。」
また、痛みは原因となる疾患の重症度とも平行しません。
原因となる病気が重症であっても痛みが軽いこともあり、逆に、原因となる病気が治療の対象にならないほど軽症であっても、強い痛みを感じてしまうこともあります。
更に、痛みしかない病気であることもあります。
痛みは身体的、精神的、社会的苦痛をもたらします。
治療によって痛みに苦しんでいる患者さんがより健康的な質の高い日常生活を送れることが、ペインクリニックの目的です。
当院ペインクリニックでは、これらの痛みに対してさまざまな方法で治療を行います。
まず、痛みの原因を痛みの部位や性質、その他付随した症状など多角的に診断して、痛みの原因を追求します。
原因となる疾患に対しては、整形外科医、内科医などと連携して原疾患の治療を行います。
同時に、今ある「痛み」に対して、主に神経ブロック療法、薬物療法を用いて痛みの軽減をはかっていきます。
痛みに苦しんでいる患者さんは、筋肉や関節機能の低下を伴うことが多く、それが別の痛みを引き起こしているという悪循環を起こしています。
痛みの治療のみではこの悪循環は断ち切ることができないため、当院では、身体機能を改善して「動ける日常」を送れるよう、理学療法を積極的に取り入れています。
痛みを軽減することによって、体が動かせるようになり、リハビリテーションによって、筋肉や関節が動かせるようになれば、痛みも軽減していくという、痛みの軽減循環につなげていくことが大切です。
ペインクリニックは、神経ブロックの効果の特性から、痛みの治療だけでなく、顔面神経麻痺、痙性斜頚、多汗症などの症状の緩和にも効果があることがあります。
対象となる代表的な疾患と神経ブロック
疾患の状態によっては当院では治療できないものもあります
1.全身のどこにでも起こりうる疼痛の疾患
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- 帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛
- CRPS(複合性局所疼痛症候群)
- 神経障害性疼痛
- 骨粗鬆症
- 神経絞扼症候群
- 腱鞘炎
- 線維筋痛症
- 筋筋膜性疼痛症候群
- 術後の遷延性疼痛(術後疼痛症候群)
- 血行障害性疼痛(バージャー病、閉塞性動脈硬化症など)
2.頭痛
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- 片頭痛
- 緊張型頭痛
- 群発頭痛
- 顎関節症
- 三叉神経痛
- 非定型顔面痛
3.首や肩の痛み
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- 頚椎症
- ストレートネック
- 頚椎椎間板症、頚椎椎間板ヘルニア
- 肩関節周囲炎
- 肩、肘や手の関節痛
4.胸や背中の痛み
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- 肋間神経痛
- 胸椎圧迫骨折
- 胸椎椎間板症、頚椎椎間板ヘルニア
- 肋骨骨折などの外傷後の痛み
5.腰や下肢の痛み
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- ぎっくり腰
- 慢性腰痛
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 腰椎すべり症
- 脊柱管狭窄症
- 変形性腰椎症
- 股、膝、足の関節の痛み
6.肛門や尾骨、会陰部の疼痛
7.疼痛以外の疾患
(原則、各専門医の治療と並行して行います。当院に専門医がいない場合もあります。)
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- 突発性難聴
- 手掌多汗症
- 顔面神経麻痺
- 痙性斜頚 など
神経ブロックとは
神経ブロックとは末梢神経に直接またはその近くに局所麻酔薬や神経破壊を注射して一時的あるいは長期間にわたり神経機能を停止させ痛みを軽減することを目的とした治療法です。
神経ブロックの意義は、
- 知覚神経ブロックによる除痛効果
- 交感神経ブロックによる血行改善効果
- 痛みの悪循環を遮断する効果
にあります。
これらの作用により、痛みの悪循環を断ち切り、正常化させることを目的としています。
また、神経ブロックの効果は、痛みを起こしている神経をブロックすることにより、その神経が痛みの発生に関与しているか否かを判定するための診断的ブロックとしての役割もあります。
一方、痛みを起こす疾患のみならず、痛みが起こらない疾患、たとえば顔面神経麻痺、網膜中心動脈閉塞症、アレルギー性鼻炎、突発性難聴などにも血流改善を目的として交感神経ブロックが行われます。
神経ブロックの種類はたくさんありますが、主なブロックとその適応疾患を表に示しました。
硬膜外ブロック |
帯状疱疹(後神経痛)、腰下肢疼痛、頚肩腕疼痛、椎間板ヘルニア、術後疼痛症候群、血流障害 など |
交感神経ブロック |
複合性局所疼痛症候群、帯状疱疹(後神経痛)、四肢血行障害、顔面神経麻痺、突発性難聴、手掌多汗症 など |
神経根ブロック |
頚肩腕疼痛、腰下肢疼痛、胸背部疼痛 など |
椎間関節ブロック、椎間板ブロック |
椎間関節や椎間板の疾患による腰痛症 など |
肋間神経ブロック |
肋間神経痛、帯状疱疹(後神経痛) など |
筋筋膜面ブロック |
筋筋膜疼痛症候群、筋膜炎 など |
関節周囲ブロック |
肩関節周囲炎、凍結肩、肘関節周囲炎、手根管症候群、股関節周囲炎、膝関節周囲炎 など |
その他:後頭神経ブロック、三叉神経末梢神経ブロック(眼窩上(下)神経ブロック、上(下)顎神経ブロック)、浅頸神経叢ブロック、肩甲上神経ブロック、腋窩神経ブロック、前胸部神経ブロック、腹横筋膜面ブロック、大腰筋筋溝ブロック、坐骨神経ブロック など |
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神経ブロック療法とともに、投薬、理学療法などを併用して疼痛の緩和を目指す。 |
ペインクリニック治療では、痛みの部位や性質によって、いろいろな神経ブロックを単独または複数用いて、痛みを緩和させ、同時に理学療法を通じて運動機能を改善させ、快適な日常生活を送れるよう、多角的に治療していきます。
内科
内科(一般内科)とは胸痛、腹痛、下痢、悪心・嘔吐、胃腸炎、胃十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、咳、喘息、気管支炎、呼吸困難、発疹、関節痛、甲状腺・内分泌疾患、アレルギー疾患など一般的でよくある症状や疾患にまず対応する診療科です。
これらのよくある症状や疾患の裏には重大な病気が潜んでいることがあり注意が必要です。一般内科で診断や治療が困難な場合は専門の医療機関に紹介いたします。
また、「生活習慣病」と呼ばれる高血圧、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症(痛風)、メタボ、骨粗鬆症などについても対応いたします。
まず、これらの疾患の原因と状態・合併症に関して検査と評価を行います。そして、単に薬物療法のみでなく、食事や運動などの生活指導を行いながら総合的かつきめ細かく治療いたします。その他様々な内科系疾患にも対応いたします。
不眠、ストレスや不安・うつなどの精神心理的な原因による体調不良などについてもプライマリーケアとして対応します。一般内科の領域を超えるような場合は専門診療科に紹介いたします。
さらに、体調不良、どの診療科にかかったらよいのか分からない、受診科が複数にまたがる、セカンドオピニオンや専門医への紹介を希望、などの場合にも対応します。まずはお気軽に受診・ご相談ください!